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「すべてのニュースは賞味期限切れである 大忘年会」 ポジショニングと政治性について

速水健朗おぐらりゅうじ・武田砂鉄「すべてのニュースは賞味期限切れである 大忘年会」を現地視聴。

2年前くらいから毎年見ているけど、今年は同連載自体がほとんどなかったので特に振り返りとかはなく、結局3人の各持ち込みネタに基づくフリートーク

 

トピックはcakes騒動に始まり、お笑い第7世代のネオリベに見せかけたポジショニング、星野源・銀杏峯田の一歩引いた政治性、LDHのパブリック化とマスキュリズム回帰、エイベックス→折口雅博幻冬舎界隈の繋がりと速水さんの関係性など。

各トピックはだいたい例年通りでトピック自体に繋がりはないのだけど、今回面白かったのがトーク全体を「ポジショニングとその政治性」的なものが通底していたこと。 

話者3人、特に速水さんの社会的立ち位置がメディア中枢に近付き、またマスへの露出が増えていくにつれて取るアクションの帯びる政治性が不可逆な、クリティカルなものになっていく。そしてマスはそのアクションの文脈なんて見ず、各がうける印象と連想のみで客体をカテゴライズする結果、ソーシャルネットでの自分のカテゴリ・立ち位置が自身の意図したもの、本来のオピニオンから乖離したものになってしまう。

幻冬舎界隈のようなソーシャルハッカー(?)がまさに日常的なソーシャルネットを囲い込みにきている中で、命取りになりかねないそうした乖離を防ぐために、発信者としてのポジショニングをどう取っていけばいいのか?という課題を提出してトークは終わる。

 

このトークを聞いてまず思い浮かべたのが、やまもといちろうさんのポジショニングについてだった。

元切り込み隊長・いっちょ噛み野郎・総会屋2.0として今やネットコンテンツとしてはオワコン扱いされて久しい彼だが、webライターとしてはヤフー個人や文春オンラインで発信を続け、その多くが媒体内ランキングやはてブホッテントリ入りを果たしており、ソーシャルネットでの存在感は衰えていない。

株式・不動産投資、政治経済等社会科学の知見の深さと引用に耐えるデータドリブンな記事づくりによる書き手としての希少性がそのポジションを支えているのは確かだが、敵味方問わず相手を馬鹿と罵って止まない彼がソーシャルネットで生き長らえているそのポジショニングは正直に言って異様だ。

やまもといちろうさんはファンドマネージャー藤野英人さんや企業家の青山浩さんなど商業的なビッグプレーヤーと親交が深いが、藤野さんも青山さんもTwitter等で活動していない点を見ると、ソーシャルのポジショニングにおいてソーシャルネットでの関係性というのは無意味なことなのかもしれない。これは考えてみると当たり前のことだが、巷のインフルエンサーがその関係性の網を張り巡らせてそのポジションを確保している現状のネットを見ると、やまもといちろうさんのソーシャルネットでのあり方というのはカウンターとして注目に値するものだと感じる。